いくらの家が買えるか?
「いくらの家を買えるか」は、「頭金+ローンの額」で決まります。ローン額の1つの算出方法としては「毎月無理なく返済できる金額」から逆算することができます。
■毎月の返済額を算出
住宅ローンの額、金利、返済期間を設定して、ローン計算のウェブサイトやソフトウエアやで毎月の返済額を算出します(①)。コンドミニアムやタウンホームのように管理組合(HOA=Home Owner’s Association)がある場合は毎月の管理費を加え、一戸建ての場合はホームオーナーズインシュアランス(火災保険)を足します(コンドミニアムも室内の保険が必要な場合があります)。そして年間の固定資産税を12カ月で割り、1カ月の負担額を加えておきます。この合計が、無理のない月々の住居費かを検討します。
Realtor.comのローン計算:http://www.realtor.com/home-finance/
Zillowのローン計算:http://www.zillow.com/mortgage-calculator/
■購入可能額
毎月の返済額から割り出した住宅ローン額+頭金が、購入可能額となります。
アメリカ住宅ローン金利の推移
アメリカの住宅ローン金利は2012年後半に3%台後半の史上最低金利を記録しました。その後少し上昇傾向となっていますが、現在も4%台前半をキープしています(2014年2月)。
超低金利が続く日本の住宅ローンに比べると高い印象かもしれませんが、一般の消費者にとってはまだ返済しやすい状態かと思われます。
■アメリカの住宅ローン金利の推移(吹き出しの数字は30年固定金利)
Reproduced with the permission of Mortgage-X.com
プリアプルーバルレターの準備
前項で、無理のない返済額からローン額を割り出す方法をご紹介しましたが、「借りたい金額」=「借りられる金額」とは限りません。物件探しを始める前に銀行やローン会社に相談し、具体的にいくら借りられるかというローンに対する仮承認「Pre-Approval Letter」を得ることから始めましょう。
ローンの審査では、①クレジットヒストリー ②購入資金の頭金の額、③安定した雇用、④収入と返済額の割合、⑤銀行残高、の5つが大きな要素となります。これに基づいて金融機関からローン額を仮承認(Pre-Approval)してもらうことで、購入価格帯が明確になります。また、この「Pre-Approval Letter」は買いたい物件にオファーを入れる際に必要となりますので、早めに準備することが重要です。
アメリカの住宅ローンの審査項目
住宅ローンは、(1)借りる人の条件と(2)購入する物件の条件の両面で審査されます。
(1)借りる人の条件
借り手に対しては、次の5つの項目がチェックされます。
① クレジットヒストリー:スコアが低いとローン額が制限されたり、金利が高くなることがあります。
② 頭金:民間ローン(Conventional Loan)の場合は一般ローン(Conforming Loan) で5 %以上、大型ローン(Jumbo Loan)で20%以上(の可能性が高い)、政府保証付きローン(FHA Loan)の場合は3.5%以上が基準です。
※Conforming Loanを借りる際、頭金が20%以下の場合は審査基準が厳しくなったり、PMI(Private Mortgage Insurance=住宅ローン保険)の加入を求められることもあるため、20%以上準備できたほうが望ましいです。
※FHA (Federal Housing Administration=連邦住宅局)の保証付き住宅ローンは、通常のローンと同様に金融期間からお金をを借りますが、ローンには保険が付けられますのでその負担が必要です。この保険によって借りた人がローンを返済できなくなった場合、金融機関は債権を買い取りしてもらえるため、頭金率の基準が低くなっています。
③ 職歴:2年以上同じ職種に勤めていることが求められます。また2年間の収入証明が必要です(自営業の方は必ず必要)。
④ 収入に占める返済額比率:住宅ローンと他のローン(車や家具等)の合計金額が年収の36~43%以下に抑える必要があります(Jumbo Loanだと40%以下が目安)。
⑤ 銀行残高:頭金と住宅購入の経費以外に、毎月のローン返済額の数ヶ月分(2~6カ月。銀行によって異なる)の銀行残高が求められます。
(2)購入する物件の条件
住宅ローンを借りるということは、金融機関が物件に債務(第一抵当権)を付けます。物件を担保にしてお金を貸しますので、その物件が価値に値するかどうかを審査します。
物件の審査は、アメリカ連邦政府の住宅都市開発省(HUD=Department of Housing and Urban Development)が既定する「安全性」を基準にしています。つまり、安全に快適に住めるという条件を満たす物件ということになりますので、家が安全に住めないような状態になっていたり、水回りなどが破損したり、登記簿通りに存在しなかったりすると、ローンを貸してもらえないケースもあります。物件を選ぶ際にも、ローンの条件を頭に入れてことが必要です。
住宅ローンは購入プロセスのなかでもとても重要ですので、信頼できる住宅ローンオフィサーに早いタイミングで相談しておくことが大切です。
監修
Crossline Capitalシニア住宅ローンオフィサー
横山貴恵
■RE/MAX ESTATE PROPERTIES
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